石綿健康被害者の介護実態調査
- 古川和子
- 2018年3月7日
- 読了時間: 3分
3月5日、東京の麹町で環境再生保全機構による「石綿健康被害救済法受給者」の介護実態調査アンケート結果報告が行われました。
この調査は、環境省が環境再生保全機構に委託して昨年から実施したものです。
詳細は、以下の毎日新聞記事をご紹介します。
以下はその模様です。
検討会委員は、前中央より大阪大学大学院教授の祖父江友孝委員長。その左から、岡山労災病院岸本卓巳副院長、東北大学大学院上月正博教授。向側右から聖路加国際大学長松康子准教授、石綿対策全国連絡会議運営委員古川和子。その隣は環境省石綿対策室岩崎室長。

<環境省>石綿患者4割「要介助」救済法施行後初の大型調査
3/5(月) 21:17配信
環境省が石綿健康被害救済法で認定した患者の療養生活などを把握するため、約1000人を対象にした初の大規模調査の結果が5日、公表された。4割近くが日常で「介助が必要」とし、9割は激しい運動をしなくても息切れがすると回答した。回答した患者の平均年齢は69.9歳で、1割強が50代以下。患者団体は施行から10年以上となった制度の拡充を求める。 調査は同省が独立行政法人・環境再生保全機構に委託し、昨年7月現在の認定患者1006人と一部の遺族100人の計1106人にアンケートを送付。患者877人、遺族48人から回答を得た。 患者のうち50代以下は117人(13.3%)で、要介護の原因を問わず介護保険サービスが利用できる65歳以上は671人(76.5%)。病気の内訳は中皮腫604人(68.9%)、肺がん233人(26.6%)など。779人(88.8%)は自宅療養だった。 どの程度日常の活動が制限されているかを問う設問で「発症前と変わらない」は91人(10.4%)。激しい運動をしなくても息切れがする人が751人(85.6%)。軽度から寝たきりまで含めて「介助が必要」は331人(37.7%)だが、介護保険の認定を受けている人は158人(18%)だった。活動別にみると、階段の昇降や屋外歩行を苦にする人が多い傾向にあった。通院にかかる年間の交通費(平均値)は7万3863円だった。 遺族からの回答では、日常活動が最も制限された時から死亡日までの平均値は3.9カ月。死亡時の平均年齢は74.5歳だった。 環境省は「今後、救済制度を運用する上での基礎資料としたい」としている。 「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」の会長を昨年6月まで務めた古川和子さん(70)は「亡くなった認定者の遺族の一部が、介護保険の申請中だったなどと回答している。要介護認定が間に合わず亡くなる現状もあり、手続きのあり方も考える必要がある。認定を受けた人の半数近くが軽い労働しかできないと回答しており、一家の大黒柱の収入が減る状況も加味すべきだ」と話した。 救済制度では2016年度までに延べ1万1935件(労災との重複含む)が認定されたが、石綿を吸引した場所や時期が分からない人も多く、療養実態は把握できていなかった。【芝村侑美、五十嵐和大】 ◇ことば「石綿健康被害救済制度」 石綿を吸ったことで中皮腫や肺がんなどの健康被害を受けた人のうち、石綿の発生源である工場の周辺住民ら、労災の対象とならない人のほか、発症原因が分からない人などを広く救済する国の制度。2006年施行の石綿健康被害救済法に基づき、医療費の自己負担分が公費負担となり、月10万3870円の療養手当が支払われる。遺族は特別遺族弔慰金(280万円)などを受けられる。
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