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見えない恐怖 アスベスト(石綿)

闘病中です!!
謹賀新年
2018年 元旦
皆様にとって平穏な年になりますように お祈りいたします
京都市西京区 村瀬 潤
5月まではシスプラチンが効いていましたが、6月以降アリムタだけの投与では、結局抗がん剤が効かなくなっていました。
症状が進行したのも納得です。
11月は、抗がん剤を止めました。
腫瘍が大きくなるが、抗がん剤のダメージを少し回復させる方を取りました。12月4日に入院し、12月5日にシスプラチンの代替薬で副作用の少ないカルボプラチンをアリムタと併せ投与しました。
入院して撮ったX線CTの結果は、右肺に在った腫瘍が左肺や腹部にも転移していることが分かりました。
腫瘍の活動が強くなっています。
6月にはウエスト80cmのズボンをはけたものが、11月には82cmのズボンのボタンが止まらなくなりました。入院前に85cmのズボンを買いました。
本日/元旦現在では、実測89cmまで太くなっています。
腫瘍の働きで腹水が増加しています。腹が圧迫されて、尿が一杯のときの様な痛みがあります。
排尿しても変わらない痛みが在ります。排尿後に直接パイプを膀胱に入れて排尿しても100ccにも満たない量しか出てきません。
今は、痛み止めで痛みを抑え、1~2時間毎に排尿して何とか様子見状態です。
今回投与している抗がん剤も効かない様です。
12月26日に予定していた2回目の投与は、取り止めです。
やはり余命は長くない感じです。
悪性腫瘍(中皮腫)と診断されて -その6
別の抗ガン剤 / 浮腫み対策
2017年11月18日
京都市在住 村瀬 潤
《 別の抗ガン剤 》
アリムタだけの抗ガン剤投与では、効果が無いので、次は別の薬を試すことにしました。とは言っても試せる薬は限られています。肺ガン用に開発されて実績のある薬からの流用です。
2017年9月4日入院して試すことになりました。が、入院すると、横隔膜の腫瘍の痛みが強く、そちらの痛み緩和を優先することになりました。放射線照射をピンポイントで横隔膜の腫瘍を狙い撃つことになりました。ただ、2017年末に実施した場所と近い為、今回は前回の5Gyから4Gy(=4Sv)に下げて10cm四方の範囲に5回と決まりました。
これが効きました。それまでは、嘔吐をすると痛んだものが、全く痛くなくなりました。ついでに胸水も減ってくれるかと期待しましたが、残念ながらそれは変化なしでした。しかし、痛みが無いという事がこんなに快適だという事を、実感出来ました。
そして、いよいよ9月14日ゲムシタビンとういう抗ガン剤を投与しました。このゲムシタビンという薬は、1週間の間隔を置いて2回投与をします。そして、次の週は投与を休み、更に翌週は、始めに戻って1回目の投与をします。3週間毎に1サイクルの実施です。
効果を見るため、最低2サイクルが必要で、効果の確認の為にX線CT検査を実施しました。
残念ながら腫瘍は大きくなっており、投与の効果は無いとの判断が出ました。
身体は抗ガン剤の副作用で弱っており、ここで、抗ガン剤の投与を11月の4週間休止する事を決めました。腫瘍は大きくなるかもしれませんが、身体を休め、少し元気が出ないと頑張る意欲が湧きません。
次は、2017年12月4日に入院し、アリムタ+身体への負担が少ないシスプラチンの代替薬を投与することにしました。半年前にはシスプラチンは効いてくれた薬ですが、今回は効くか否かは分からないと言われています。しかし、頑張ります。
《 浮腫(むく)み対策 》
水中で休んでいる時間が長くて身体が冷えて泳げなかった対策に、ウエットスーツ(保温スーツ)を買い込みました。
25,000円の投資でしたが、これで休みながら泳ぎ続けられるようになりました。25mを40秒で泳ぎ、35秒休憩を32回やります。合計800mを40分掛けて泳ぎます。丁度この程度が足の浮腫みに効果が有る様です。初めはウエットスーツの脱着に、ふくらはぎや太股が引っ掛かって苦労したのですが、1週間で割合楽に脱着できる様になりました。ふくらはぎや太股が少し細くなった様です。
毎日泳ごうとしましたが、さすがに疲れが残ります。ウエットスーツを乾かす為にも2日に1回のペースにしました。また、利尿剤を増量して戴いた効果もあるのか、腹回りも細くなってきました。ウエスト82cmのボタンが止まる様になりました。体重も、10月23日に66.6kgまで増えたものが、順次減少し、11月4日には61.8kgまで減ってくれました。食欲も順調で、少しの量を食べただけで満腹感が在ったものが、食べたい量を食べられる様になってきました。
それでも外出などすると、疲れ果てます。体調は確実に悪化しています。特に、上手に歩けない事に自分でも腹が立ちます。歩いていてふらつきます。まっすぐ前に歩くつもりでいても、少し左右にぶれます。足の浮腫みのせいで、足首の可動範囲が狭くなっている為の様です。浮腫み対策に、水泳と散歩は続けていますが、20mだけでも走れたものが、走れなくなりました。
歩けるだけ良しとします。
悪性腫瘍(中皮腫)と診断されて -その5
セカンドオピニオンと混合診療 11月2日
京都市在住 村瀬 潤
アリムタだけの抗ガン剤投与では、効果が無いことがはっきりしました。と言って、止めてしまえば身体は楽になりますが、腫瘍ももっと活発に肥大するかもしれません。
セカンドオピニオンのご意見を拝聴する事に致しました。年間の受診者数をネットで見ると、東京築地のガンセンターが14名に対し、兵庫医科大学附属病院は59名となっていましたので、患者数が多い方が情報も多いだろうと単純に考えて兵庫医科大学に申し込みました。
2017年10月3日に予約が出来、いそいそと出掛けました。が、残念ながら新しい有益な情報は得られませんでした。やはり、患者の数が少な過ぎる様です。今からでも手術の可能性は如何にとの答えは、既に昨年確定診断のPET-CTとX線CTのデータから、手術はお勧め出来ないレベルに在ったとの事です。
混合診療についても、お勧めできない。何故なら、保険適用外の治療は、効果の程度も副作用の強さも未だ分からない治療で有り、普通の病院ではやっていないとの事。ネットで色んな情報を検索していると、混合診療をやっているらしい病院が広告を出しています。個人病院の感じです。技術料として法外な料金設定がされている様です。効くも効かぬも運しだいという感じがします。ここは、やはり治験という名前のもとに薬の効果を検証する公の場に参加する方が、良い気がいたします。
この間にも、足の浮腫みはどんどん強くなっています。足首に在った曲げ伸ばしの違和感は、膝にまで上がってきています。ふくらはぎの周囲太さが37cmもあります。
ふと、気付くと、ウエストが79cmのズボンをはいていたものが、82cmのズボンのボタンが止まりません。腹周りにも浮腫みが出てきていたのです。体重が、60kgから64kgになり、今は更に68kgまで増えてしまいました。朝食後服用の利尿剤のフロセミドを、2倍の20mgに増量して戴きましたが、目に見える効果は出ていません。更に、昼にも10mg服用の処方になりました。症状の進行が止まってくれない様だと、やはり発病して2-3年で寿命になる事が、実感として感じられます。
処方されている薬の数も、いつの間にか驚く程増えました。先ず、毎食前に吐き気止めのソラナックス0.2mg。
朝食後は、血栓対応のリクシアナ30mg、利尿剤のフロセミド20mg、筋肉の炎症剤のセレコックス100mg、オキシコンチンに対応した吐き気止めのノバミン5mg、オキシコンチンに対応した便秘薬マグミット250mg、そして浮腫みで膝が痛い時には痛み止めのカロナール200mg。
昼食後は、フロセミド10mg、ノバミン5mg、マグミット250mg、カロナール200mg。
夕食後は、セレコックス100mg、ノバミン5mg、マグミット250mg、カロナール200mg。
そして、毎日8時と20時にオキシコンチン5mgを2錠。それでも痛い時には、頓服薬のオキノール2.5mg。その他、しゃっくりが止まらないときには4時間毎にコントミン12.5mg、咳が出た時にはメジコン15mgを2錠など、覚えきれずにメモをして整理し、食事毎に次に飲む薬を整理する生活です。
また、薬の服用は出来るだけ減らしたいので、主治医さんの助言に従い、マグミットやカロナールは適当に服用をカットしています。
悪性腫瘍(中皮腫)と診断されて-その4(検査) 10月18日
京都市在住 村瀬 潤
今まで受けた検査について、その意味と内容を振り返る事にします。
《血液検査》
目的によって検査内容が変わりますが、私の場合は赤血球数/白血球数などの骨髄機能や腎臓/肝臓などの機能をチェックし、抗ガン剤で低下した機能が或る程度維持できているか否かを判断します。
特に、抗ガン剤のダメージで内臓機能が低下すると、抗がん剤の投与が出来なくなり、死を待つだけになります。
《胸部X線直接撮影》
肺に溜まっている水(胸水滞留)の量が、直接X線画像に写ります。右肺の下から6cm程度溜まっていました。この水を初めて桂病院を受診した時に注射針で抜いて戴いた時は1Lでした。その後、手術で組織片を切り取った時に、開けた太い穴にパイプを付けたままにした時は1.5Lの水が出て、その後も毎日150mLの水が出ました。
抗ガン剤投与を受けるようになって水の量は減り、右肺の下から1cm程度になっています。抗ガン剤投与を受けないと、腫瘍からは毎日150mL程度の水が滲出し、正常な細胞が吸収してくれる量とのバランスで1.5L程度の量が溜まっている様です。抗ガン剤投与を受けると、腫瘍の活動が弱くなり、溜まっている水の量が減る様です。
つまり、溜まっている水の量が、腫瘍の活動の目安になります。
《胸部X線CT検査》
X線で身体内部の形状を立体(3次元)的に撮像します。中皮腫の腫瘍の大きさ/厚みが、確認できます。6回の抗ガン剤投与を受けた段階で、腫瘍の大きさや厚みに変化は無く腫瘍は成長していないとの診断です。
また、福島原発事故で知られるようになったヨウ素剤を腕から静脈に注入し、身体中に行き渡るのを待って血が流れている血管の形状を立体(3次元)的に撮像します。ヨウ素は原子量が大きく、X線の遮蔽効果が大きいので、注入することでコントラストの良い血管の画像が得られます。私の場合は、抗ガン剤の副作用で肺動脈の一部に血が流れていない血栓による詰まり(塞栓)が見つかり、1月末の検査の日にそのまま緊急入院しました。
《PET-CT》
質量数18のフッ素を組み込んだFDG(フルオロデオキシグルコース)を腕から静脈に注入し、身体中に行き渡るまで90分ほど待って撮影します。
グルコースとはブドウ糖と同義で、活動が活発な細胞が多く取り込みます。
がん細胞は正常細胞より活発に糖を取り込むので、フッ素18の場所を調べれば活発な組織と共にガン細胞の場所を特定できます。質量数18のフッ素は、半減期110分で崩壊します。崩壊時に陽電子を放出し、陽電子はその位置で消滅して1.02MeVのエネルギー(511keVのX線2個)に変わります。
2個のペアのX線は正確に反対方向に出て来るので、2π方向に検出器を配置し、ペアのX線を同時に検出したときにその検出器を結ぶ位置に質量数18のフッ素(DET)の存在を特定できます。1つの信号では画像を作れませんが、X線信号のカウント数を増やすことで立体画像を作ります。この検査の画像の解像度は残念ながら低く、精度の良いX線CT検査の結果と併せてガン細胞の場所と大きさを特定します。この検査で、30mSv程度のX線被爆になるようです。環境放射線の測定器を持っていたので、帰宅後量ってみました。
スイッチを入れると、9.99mSv/hのフルスケールを超える点滅表示です。変だと思ってリセットしますが同じです。試しにリセットして数m離れた場所に置いておくと、ようやく3mSv/h程度の値が出ましたが、手に持つと直ぐにスケールオーバーします。手に持った状態ではスケールオーバーして、測定できなかったのです。
18Fを注射したのが10時頃で、帰宅したのが13時でした。2.8分の1程度に減衰していた訳ですが、考えてみればRI像はS/Nが良いと言っても画像を作るには3σから考えて1画素当り少なくとも100カウント、できれば1000カウント程度欲しいので、この程度の被爆量が必要なのでしょう。検査を担当戴いた人が、可能な限り私に近付かない訳です。
毎日PET-CT検査に立ち会っていれば、相当な年間被爆量になります。また、511keVのエネルギーですから、鉛の板でも止めるには相当な厚さが必要です。
実用的に被爆量を下げるには距離を取って近付かない事ですネ。
《頭部MRI検査》
先ずそのままのMRI画像を撮ります。次にGdを含有したマグネスコープという試薬を腕の静脈から注入し、頭に回って吸収されるのを待って画像を撮ります。MRIでは、高周波磁場を加え、水素スピンの元に戻る緩和時間の違いを画像にします。
Gd添加したマグネスコープは腫瘍マーカーの様です。活動が活発な腫瘍に集まり、緩和時間の変化を大きくして腫瘍の位置を強く示してくれます。何故頭部のMRI検査をしたのか、後で意味が分かりました。
肺ガンだと、頭に転移していることが多いのです。肺に水が溜まる(胸水滞留)原因としては、1つは肺結核などの細菌の感染症。2つ目は肺ガンなどの悪性腫瘍です。
主治医さんは肺ガンを一番疑っていたので、この頭部MRI検査が実施されていました。
《エコー検査》
超音波発振子から出た超音波が体の内部で反射して戻ってくるのを捉えて体内部の画像が得られます。
骨などの密度が高い部分は反射率が高く明るく表示され、血液などの密度が低い部分は暗く表示されます。
ただし、骨以外の組織の画像は、見慣れていないと良く分かりません。
この検査で、両足のふくらはぎに肺動脈塞栓症の元になった血栓の種が溜まっているとの事が分かり、
血栓の種が無くなるまで血栓を溶かすリクシアナという薬を今も飲み続けています。
以上が、私が受けた主な検査です。副作用によってはいろんな検査が在ると思いますが、
参考にしてください。
また、私が昨年(2016年)10月に撮った胸部PET-CTと、同じ時期に撮った胸部X線CT検査の画像を
添付しております。X線CT画像では鮮明な腫瘍の形状が把握できます。PET-CT画像では、グルコースを
取り込んでいる腫瘍の位置と活動が活発な正常細胞だけが着色されて把握できます。
悪性腫瘍(中皮腫)と診断されて-その3(医療費負担) 10月11日 村瀬 潤
私は現在68歳です。完全退職して年金生活をしています。健康保険は、国民健康保険です。
今回、保険と付いている意味が理解できました。
自己負担額は医療費の3割ですが、各種検査をし、入院し、抗ガン剤投与を受けると、毎月の医療費は高額になります。医療と歯科、入院と外来はそれぞれ別枠ですが、私の年金所得額だと自己負担額は毎月57,600円が上限となり、超える医療費は健康保険が負担してくれます。更に、上限を超える月が1年間に4回目からは自己負担の上限額が44,400円に下がります。
昨年の11月と12月の入院の医療費はそれぞれ100万円程で、自己負担が3割なので30万円づつの負担になりますが、保健制度のお陰でそれぞれ上限額+食費などの医療費外費用で済みます。10月から12月までの3ヶ月間の自己負担額は、結局合計30万円余りで済みました。また、上限を超えるのが4回目となる1月からは、更に軽減されました。また、アスベストの規制が遅れた責任が国に在り、中皮腫と認定されると医療費の自己負担額を国が負担してくれる「アスベスト健康被害救済法」が制定されています。
年明け早々に申請しました。認定するとの通知が2月下旬に届き、3月からは中皮腫に関する窓口での自己負担額の支払いは不要になりました。また、既に支払済みの自己負担額についても、医療機関の証明書を提出することで、還付されます。また、療養手当てとして月額103,870円が支給されます。尚、仕事での罹患の場合は労災保険が適用され、休業補償や遺族年金などもありますが、アスベストの吸引から発症までの期間が長く、認定されずに裁判になっている事例が多いようです。
以上の様な感じで、この程度なら医療費負担もそれほど大きくなく、年金生活者でも生活していけそうです。ただ、もっと若い現役の世代の人にとっては、大変だと思います。自分の生活だけでなく、子供の生活が在り、将来の夢が描けないと思います。また、抗ガン剤というのは、未だ未だ高価なものです。これから継続して抗ガン剤治療を受けるわけですが、1月に受けた抗ガン剤の場合は、1回の投与の自己負担額が3割で22万円余りとの事でした。医療費総額としては77万円余りということです。
実際の自己負担額は上限額57,600円で済みますが、これは中皮腫として認可されている抗ガン剤の場合です。中皮腫として認可されていない新しい抗がん剤を試すとなると、健康保険は適用外になります。つまり、全額自己負担です。他のガンで認定されて在る程度使用量が在る抗がん剤でも1回当りの価格は100万円程度します。イレッサは価格が下がりましたが、高い薬だと1000万円のものも有る様です。
私の場合、中皮腫の標準的な抗がん剤のアリムタとシスプラチンが或る程度効果が在りましたが、残念ながら私の場合腎臓機能にダメージが強いシスプラチンは、半年で使えなくなりました。他の薬も試しましたが、効きません。症状がどんどん悪化しています。
肺に溜まっている胸水は、2L程度まで増え、抗ガン剤の副作用で減っている赤血球数の効果と合わせ息切れが激しくなっています。また、横隔膜の腫瘍の痛みが強く痛み止めが無いと身体を動かす気にもならないし、眠ることもできません。
こうなると、何をすれば良いのか分からなくなります。ネットを見ると、費用もべらぼうな終末患者向けの混合診療の広告が出ています。効果が在れば良し。無ければお金を吸い取られるだけなのでしょう。とても、うかつには保険認定を受けていない薬を使用する混合診療を受けられません。残るのは、緩和ケアだけかもしれません。治療が順調な場合は良いのですが、薬が効かず、症状が進行する場合は、医療費の問題でなく不治の病との付き合い方を問われます。
お金が無ければ静かに終わりを待つだけですが、有ったとしても、使い道は限られます。色々考えると、次の人の為に治験に参加することが、1つの結論の様にも思えます。
医療費の話からは脱線していますが、読者の方にも、一度考えて戴きたい問題です。
悪性腫瘍(中皮腫)と診断されて-その2/抗ガン剤投与
2017年10月5日
村瀬 潤
<治療・抗ガン剤投与> その序章
昨年(2016年)12月7日に中皮腫と確定診断に至り、生活は激変してしまいました。再入院し、12月12日に初回の抗ガン剤投与を受けました。最近は遺伝子治療薬や分子標的薬など身体の負担の少ない新しい抗ガン剤が開発されている様ですが、残念ながら中皮腫という病は
患者数が少なく、新しい薬の開発が進んでいない様です。
古いタイプの毒薬と同じと私には思われる抗ガン剤しかありませんでした。商品名がアリムタとシスプラチンという2種類が、10年前から保健で承認されている抗ガン剤との事です。
アリムタは中皮腫専用の薬ですが、シスプラチンは肺がんなど幅広く使用されている腫瘍の活動を抑える薬です。朝から夕方近くまで掛かって、吐き気止めなどの薬を含め点滴で投与します。投与を受けた日はそれ程ではないのですが、軽い頭痛や吐き気が始まり、味覚や匂いそれに口内の感触が変わり食欲不振が始まります。また、翌日の朝にはしゃっくりも始まりました。
投与後1週間後が一番苦しい時期になります。その後、徐々に楽になりますが、体重が57.2kgまで減りました。何とか食べようと食事に1時間程度の時間を掛けるのですが、苦しい時は食べられません。
この苦しい時に、放射線照射も受けました。中皮腫は、基本的に転移は無いのですが、組織採取時の手術の傷を伝って転移するとの事。手術の傷が治った頃を見計らって、転移防止の為に手術部位を10cm四方程度の範囲にピンポイントで照射しました。6MeVのエネルギーで1回5Gy(=5Sv)を5回実施で、合計25Gy(=25Sv)です。
全身に5Svの照射を受けると、1ヵ月後の生存率が50%以下なのを知っていたので身構えましたが、痛くも痒くもなく拍子抜けでした。
自分では抗ガン剤投与は大変苦しいと思いましたが、主治医さんには『それ程きつくなくて良かったですね。』と、言われて年末に退院しました。
正月を自宅で過ごしましたが、入院生活で体力が衰え、2階に上がるだけで息が切れます。近所を散歩すると、ゆるい傾斜地になっている事に気付きました。体力が無くなると、今まで坂と気付かなかったゆるい坂を散歩するだけで息が切れました。発症するまでは泳ぐと息が切れるだけだったのに、体力の衰えにがっくりしました。
2回目の投与は、1月12日に受けました。肺がんで承認されている新しい抗ガン剤を試しましょうという事で、アバスチンという薬も合わせて3種類の投与を受けました。
3回目の投与は1月31日に予定していましたが、前日の30日にX線CT検査が在りました。検査を受けて帰ったのですが、病院から主治医さんが診察をしたいとの事で連絡が入り、再度病院に行くと、肺動脈塞栓症との診断です。追加のエコー検査を受けましたが、ふくらはぎに血栓の巣が出来ており、静脈から心臓を経由して肺に至り肺動脈が2割ほど詰まっている状態でした。
緊急入院となり、血栓を溶かすヘパリンを24時間点滴治療になりました。トイレ以外はベッドから降りる事も禁止です。
その後、点滴から飲み薬のリクシアナに変わりましたが、今に至るも服薬を継続中です。その後は、抗がガン剤を元の2種類に戻し、2月10日に3回目の抗ガン剤投与を受けました。その後、5月末の投与までは、抗ガン剤の苦しさは在りましたが、腫瘍の大きさに変化はなく、胸水もかなり減った状態で安定していました。
暫く参加していなかったマスターズ水泳大会にも参加しましたが、昨年と殆ど変わらない記録が出て、メダルも取る事が出来ました。
でも、これからが大変でした。
<治療・抗ガン剤投与> 副作用と闘いながら
6月の7回目の抗ガン剤投与からは、腎臓などへの負担が強いとの事でシスプラチン無しのアリムタだけの投与になりました。投与後の苦しい期間が多少短縮されましたが、腫瘍の活動も強くなっている様です。症状が色々出てきました。
先ず、息苦しさが強くなりました。抗がん剤投与時に撮るX線直接像を見ると、投与前と同じ1.5L程度まで肺の水が増えている感じで肺活量が減っています。更に赤血球数が薬の副作用で投与前の2/3程度に減っていて、結局最大酸素供給量が半分以下になっている様です。ゆっくり泳いでも、今は続けて泳げるのは100mが限度です。25mを30秒で泳ぎ30秒休憩して又泳ぐ…を10回繰り返しています。
そんな訳で、今後のマスターズ大会の参加は、ローカル大会と日本マスターズ大会だけにします。
そうこうしていると、身体に浮腫みが出てきました。顔を洗うと頬がふくよかになっており、二重まぶたがいつの間にか一単まぶたになっています。腕を見ると左の腕の血管が見えません。足を見ると右足が特に膨れています。指のケガをして水泳を1週間止めた間に足は更に膨らみ、痛くなりました。特に足の甲がパンパンに腫れ、足の甲に触れるとビリッと痛みが出ました。皮膚が急に引っ張られて伸びた為の様です。ただ、本当はガリガリに痩せているのですが、見た目には顔がふっくらとして普通に見えるのは良い点です。 この足の浮腫みは、幸いにも水泳を再開すると4日で元のレベルに戻ってくれました。適度な運動が重要なことが分かります。
この後、腫瘍の痛みが出てきました。昼間は出来るだけ我慢していますが、夜は痛み止め無しでは寝られない状態です。痛み止めも、初めはトラマールOD錠が処方されましたが、私には副作用の吐き気が強く出た為、ヘロイン系のオキシコンチンに変わりましたが、痛みが止まりませんでした。
頓服として処方されていたオキノームという薬を飲んで凌ぎましたが、結局オキシコンチンを2倍の2錠づつの処方で安定しました。また、オキシコンチンは便秘という副作用がありましたが、私は元々下痢気味の軟便症だったものが、マグミット錠との組み合わせで丁度良い状態になってくれました。苦しい副作用が多いのですが、中には体調に合う物も在りました。
中断しているシスプラチンを投与できる12月になるまで、未だしばらく在ります。先月の検査では腫瘍の大きさは大きくなっていない(小さくなる人も在る様です)との診断ですが、シスプラチンを投与できない間に少しずつ大きくなり、症状も進むのだろうと思います。
症状の進行が止まってくれない様だと、やはり2-3年で寿命になるのでしょう。費用は掛かりますが、保健使用が承認されていない全額自己負担の薬を試す事も考えたいと思い始めている今日この頃です。
完全退職後に再開した趣味のラジコン・スピードボートは、継続中です。今年からレギュレーションが変わりました。先日の大会には出場できる船体をヤフーオークションで手に入れましたが、改造が大変で、調整が不十分でした。
成績は昨年より悪くて5位でした。次の大会では雪辱したいと船体の調整をやり直し中ですが、痛みなどが在り、思う様には進みません。
それでも、好きなことをできるのは良い事です。
希望が湧いてきます。
悪性腫瘍(中皮腫)と診断されて -その1/プロローグ 2017年9月30日
京都市在住 村瀬 潤
昨年(2016年)11月18日、悪性腫瘍の中皮腫疑いとの診断を受けました。主治医さんから「アスベストを扱う仕事をしていましたか?」との質問に、忘れていた恐れを思い出しました。
10年ほど前の事です。夕刊を読んでいると、1面のトップに『奈良県にてアスベスト禍!』の見出し。本文を読むと、私が大学卒業まで住んでいた奈良県王寺町の日本アスベスト・王寺工場周辺で、アスベストを吸引した事に依ると判断される症例が多発している。
更に隣町の斑鳩町竜田に在った子会社の竜田工業の周辺でも多発しているとの記事でした。
私が住んでいた家は、アスベストの工場とは国鉄・関西本線と信貴生駒電鉄の線路を挟んだ場所でした。小学生の頃は、工場のゴミ捨て場が近所の子供の遊び場です。ゴミ(廃棄物)を掘り返して、瓦を小さくした様な形のアスベスト製品を探して遊び道具にしていました。
記事を読んで、いつかは私も発病する可能性が在ると思いを巡らしました。
しかし、診断が出たときは日常生活に支障は無く、持病の椎間板ヘルニアのぎっくり腰の予防の為の水泳で息が切れるだけでした。
そもそも今回の診断に至った切っ掛けは、春頃から下痢気味になり、63kgの体重が60kg前後に減って身体が重く感じる様になった事です。
尚、私の体脂肪率は13%で、普段の体重変化は±0.5kg程度しかありません。
近所の内科医を7月に受診しました。先ず下痢止め薬を処方してもらい、下痢は多少改善しましたが、体重は戻りません。9月になって、泳ぐとやたらと息が切れる様になりました。
9月末に腹部のエコー検査をする事になり、腹でなく右肺に水が溜まっている事が判明しました。直ぐに京都桂病院への紹介状を戴き、呼吸器内科を受診しました。胸部X線CT、頭部MRI、胸部PET-CTなどの検査で、右肺に腫瘍が有ることが分かりました。腫瘍から水分が染み出し、空気を吸い込む肺胞と胸を取り囲む中皮という膜との間に溜まっていて、水の量だけ肺胞が膨らまない分肺活量が減って、息切れした訳です。
ここまでの検査では病名の特定に至りませんでしたが、抜いた水に含まれていた細胞の染色組織検査の結果から『中皮腫疑い』との診断に至りました。進行レベルは、4段階のレベル3との事。主治医さんから「この病は治りません」との宣告。
吸い込んだアスベストが無くならないので、完治が無い訳です。ネットで調べると、5年後の生存率は10%以下。治療方法として、外科手術は、右肺を全て取り除く大きな難しい手術になり桂病院では出来ないとの事。患者の負担も大きく、感染症の危険もあり、手術での延命率アップもそれ程期待できない様です。残る治療方法は、放射線照射と抗ガン剤投与ですが、腫瘍は既に右肺全体に拡がっていて放射線照射をすると肺や心臓がダメージを受けるので出来ないとの事。
結局、抗ガン剤投与しか治療方法は残りません。
直ぐに始める事を希望すると、確定診断をしないと始められないとの事。
入院して部分麻酔で右わきの下に穴を開け、内視鏡にて組織片を切り取り、染色して細胞の組織検査をする事になりました。が、検査に必要な大きさが切り取れず、呼吸器外科に転科して全身麻酔での手術でようやく診断に必要な大きさの組織片を切り取れました。一旦退院し、12月7日に外来で診断結果を聞きました。『中皮腫』と確定診断に至りました。
ここまでが、私が中皮腫を患ったプロローグになります。
この先何年生きられるか分かりませんが、誰でもが体験できる事ではないので、病気の事や気付いた事、その他諸々の事を投稿したいと思っています。
よろしくお願いします。
