死ぬまで生きておれる
- 古川和子
- 2017年10月26日
- 読了時間: 2分
今日はAさん(70代男性)という中皮腫のご遺族の方と会いました。
Aさんの兄は今年1月に中皮腫を発症して、5月急逝しました。
81歳という高齢でしたが、元来元気な方だったのでもっともっと長生きすると誰もが信じていました。アスベストばく露の原因は環境被害です。
まさか自分が…と誰もが思います。
Aさんの兄もその一人で、痛みなどの症状がでても胸部の検査はしなかったようです。
そして胸部の検査をしたときには「余命3ヶ月」の宣告。
本人には告知をしていませんでした。
兄は苦痛と不安で「自分はいつまで生きられるのだろうか」と口癖のようにAさんに尋ねました。
Aさんは「死ぬまで生きておれるんだ」と言いました。
思い悩んで出た言葉でした。
でも「もっと若い人には言えなかっただろう」と語っていました。
中皮腫は予後の悪い病気…といわれます。
しかし早期に発見すれば、手術、抗がん剤、放射線などの選択肢があります。
「診断されたときには選択肢が無かった」といったのは、大阪市西成区で大阪パッキングの工場周辺で被害に遭ったBさん(70代男性)です。
Bさんは「せめて選択肢のあるうちに発見を」と、私たちと一緒に大阪パッキング(現日本インシュレーション)に周辺住民の検診を要請しました。
昨日はアスベスト検診のことを紹介しました。
Aさんの兄や、Bさんのように尊い命を犠牲にしてできた検診制度です。
一人でも多くの方が「選択肢」のあるうちに間に合って欲しいと願っています。
そして多くの医療関係者や研究者たちに問題を投げかけて欲しいです。
そうすることによって、中皮腫が治癒する薬が出来ると信じています。
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